2012年6月27日水曜日

ネパール人の好きなもの その2


ネパール人が好きなものは何ですかと聞かれると答えるのに難しい。なぜかと言うと、ネパール人は多民族の集まりであって、民族によって文化、宗教や家族のあり方はかなり異なる事が多いいからだ。実際、自分の民族の事は良く知っているが隣近所に住んでいる他の民族の事に関してはそれほど良く理解していない場合が多いい。だからネパール人が好きなもの?と聞かれても、そもそもどの民族をネパール人の代表として考えるかに寄ってかなり異なってくる。でも、あえてネパール人が好きなものと特定すると、たぶん”王様”だと思う。そう、ネパール人はどの民族でも基本的に王様が好きなのだ(少なくとも私の周りのネパール人は)。

非常に抑圧的な王制時代もあったので王制に賛成しない人は沢山いるが、王様そのものに関しては必ずしも否定的ではないのだ。何で王様が好きなんだろう? 一つの大きな理由を言うとネパールで王様は神様なのだ。実際王様はヒンドゥー教のビシュヌなどの生まれ変わりと信じられている。ですから王様のいない隣の国インドではネパールの王様(神様)は人気があると言う。

2012年6月13日水曜日

ネパールの田舎で広まる悲しい病気


田舎

ネパール保健省のNepal Country Progress Report 2012年によると、現在ネパールのHIV感染者は52,000人に及ぶ。
(ちなみに日本では2011年3月の時点でHIV感染者12,866人、エイズ患者5,900人の合計18,766人である)

2009年には63,528人が感染者であると見積もられていたので、ネパール政府の努力と諸外国からのたゆまない援助が功を奏しているのがよくわかる。しかし、未だエイズ感染者が都市だけでなくネパール中にたくさん居るのはなぜだろう? 事実、感染者は田舎に沢山居るのだ。

その理由を国連の報告から知る事ができる。その報告によると感染者の41%は出稼ぎ労働者。(ネパール保健省に寄ると27%)つまり、海外でHIVに感染した人が毎年新しい感染源として帰国し、その多くが地方に帰って行くのだ。

地方は現金収入に結びつく仕事が少なく、毎年200万以上の人たち(おもに男性)が海外に長期、短期の出稼ぎに行く。渡航先はインド、ドゥバイ、マレーシアなど様々だ。

ルクムと言うネパール中西部に住むダネシュと言う男性は、7年インドのムンバイで出稼ぎをした。経済的な力を付けて帰国し、妻と小さな娘と一緒に生活する夢を暖めて帰国したダネシュは現金だけでなく、治癒困難なエイズも一緒にネパールの山奥ルクムに持って帰って来た。

29歳の妻パルティバは、「夫はこの前のダサインの時に死にました」、「最初何が起きたのか、わけが分からなかった。お金を稼ぎに外国に行った夫があんなに恐ろしい病気に成っていたなんて...」。パルティバはダネシュからウイルス感染した。9歳の娘も感染した。親族は(感染を恐れて)パルティバの手を触ろうともしない。「大黒柱の夫が死んだ後、家族全体が苦境の底に落とされてしまいました」とパルティバは付け加えた。(The Himalayan Timesからの引用)

ダネシュの家族のような悲劇を減らすべく、ネパールでは誠実な努力が実行されて来た。多くの保健関連機関が押し進めているのは”安全なセックス”の教育である。そして、国内での職の確保,感染者への偏見を無くす事にも積極的に取り組んでいる。

興味深い事に家族に対する”背信行動”そのものを防ぐなど道徳の教育にはあまり重きが置かれていない。つまり、エイズに成らなければ、何をやっても良いのだ。

家族の愛や団結がしばしば強調されるネパールの社会で、配偶者以外と関係を持つ事にそれほど違和感や罪の意識を感じない人が居るのはなぜなんでしょうか? その理由をカトマンズ生まれ生粋のネワール人のアムリットが説明してくれた。