2011年3月9日水曜日

ネパールの悩み(停電)


停電中の夕食準備

停電で病院の電灯が使えず携帯電話のミニ懐中電灯で出産をしたと報道された。

ネパールは先月から一日14時間の停電である。おおざっぱに言うと、5時間電気が来てその後7時間停電になる事を繰り返すのだ。ネパールでは現在(乾期)一日915MWの電気量が必要だが、実際、390MWしか生産できないらしい。

停電だと困る事がたくさんある。例えば、機械を使う工場は生産に支障をきたし、閉鎖を余儀なくされる。ビールガンジでは大手の石鹸会社など含む60の工場が閉鎖に追いやられ20,000人の人が失業した。

日常生活も電気がいつ来るかにかなり振り回される生活になる、電気が来る夜中に洗濯機をまわしたり、屋上タンクに水をあげるポンプをまわしたりする。フォトコピーをしにお店に行っても電気が無いのでコピーマシンが動かない。新しいエスプレッソマシンを導入したカフェに行っても電気が無いからと断られる。
ネパールに来てごく初期に覚えたネパール語は”バッティ アヨー!”だ。つまり”電気が来た!”と言う意味。電気が来ると部屋の中が明るくなり、寒い冬は電気ストーブが再び生き返るので「電気さん戻って来てくれて本当にありがとう」などと日本に住んでいる時は考えないような感謝の気持ちがわき上がるのだ。

”バッティ アヨー!”は大家サンの孫娘が電気が来ると叫んでいたのですぐ覚えた。今でも長い停電が終わると近所の子供のうれしい”バッティ アヨー!”の叫びが聞こえてくる。この言葉を聞くと何か胸の中が軽くなるような不思議な幸福感に包まれる。闇からの解放の喜びの叫びとして心に染み付いてしまったのだ。

昨年3月、ネパールエネルギー省大臣は停電(ロードシェディング)は間もなく無くなると楽観的な観測を公表していたが、今年に入りこれから5年は停電の問題は解決されないだろう、さらに長時間の停電が必要になるかもしれないと言う言葉で昨年の楽観的な観測をあっさりと上書きしてしまった…. ネパールの悩み”停電”はこれからもしばらく続きそうだ。


今、ネパールの子供たち(10年生)はSLCと言う卒業資格と進級に関わる試験の勉強中、今晩もロウソクの元で勉強しているのでしょうね。