2012年3月20日火曜日

明日に賭ける橋?




2010年11月にリングロードを含む市内4カ所で始まった歩道橋工事のうち、カランキ交差点の歩道橋が完成に近づいたようだ。階段は鉄筋コンクリート、橋桁そのものはさびさびの鉄骨で実に重々しい。長さは50メートル以上ある。この建設はカトマンズ市と民間 (Inovative concept Nepal Pvt Ltd)とのベンチャー事業だ。金が絡むと必ずもめるのはこの国でも例外ではない。一つの歩道橋建設に520万円~620万円(土地代含まず、11年3月のレート)かかるこの歩道橋工事を阻止する力が一時は優勢に見えたが、ここに来てちゃっかり完成に向けて動いているようだ。 

これまで、PAC(国会の公会計委員会)や公共事業計画省そしてCIAA職権乱用監視委員は再三に渡り建設の中止を命令してきた。その主な理由は、歩道橋のデザインは承認されておらず、カトマンズと業者が結んだ契約は違法。そしてこの建設は金の無駄遣い(CIAAの決定は2011年3月に最高裁判所によって無効にされた、その後最高裁判所はカトマンズ市に歩道橋のデザインを変更するように命令(同年3月16日))

地元の人々の反対によっても何度か工事が中止されている。その理由は、「見晴らしが悪くなった。地元の意見を全然聞かずに勝手に始め遺憾だ。結局この工事は市民の福祉ではなく金儲けを優先した建設だ」と主張する地元の団体もある。この歩道橋の下に200店を開店する事ができるようになる(らしい)。くわえて完成後18年間、建設業者には橋に付けられる看板などから得られる広告費を得る権利があるのでかなりのお金が動くのは確実。

PACの大臣によると、この建設はそう簡単には止められないと、、、、政府の大物がこの事業の基礎作りに関わっているから。 実際カランキの歩道橋の開工式にはマオイストのリーダーの一人Pushpa Kamal Dahal、バネシュワルの開工式には元首相のMadhav Kumar Nepalが出席している。だからこれはカトマンズ市内のもめ事でなくて、政府の要人を巻き込む論争なのだ。

皮肉な事に政府も地元の人も、この歩道橋が将来解体されなければ成らない事を知っている。その理由は中国政府の援助でリングロードは8車線(62m幅)に拡張されるのだ(2011年2月28日に締結)。そうなると歩道橋が邪魔になり解体を余儀なくさせられるのだ。 

ドロドロした争いには無関係のカトマンズッ子たちは「この前あのアーカシプル(「空の橋」の意味)を見に行った!」「今までのでいちばんでかい!」「むちゃくちゃ頑丈!」などと必ずしも否定的でない反応をしめしている。

カランキ交差点は地方から市内に入る一番大きな交差点です。村から初めてカトマンズに来た人たちがこの巨大な(あくまでもネパールでは)歩道橋を眺める時、「都会だなあ。。。。」と感動するのでしょうね。

ところで、この4つの歩道橋建設を速やかに終わらせるために今じゃんじゃん工事が先に進められているそうです。 なぜ? 完成しちゃえば、道路拡張工事の際に橋が解体されて損害賠償金をもらえるかもしれないのだと。。。。。 将来を予想できないネパール情勢、それにもめげず明日に賭けて橋が一つカランキ交差点に完成しそうです。